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負け犬の遠吠え 友の会シドニー支部

 

Friday, July 07, 2006

其の39 棺DーIーY論

(この記事は、2006年7月7日付け週刊ジェンタ紙に掲載した記事に加筆して掲載しているものです)

人の一生は生老病死である。生まれた以上、いつかは死が・・。一年前に亡くなったローマ法王の棺がシンプルなのは意外だった。確かに糸杉は、一度伐ったら二度と生えないことから喪の象徴とされてきたのもうなづける。 

 昨今、葬儀の簡素化を望む声は世界的で、結構な方向に進んでいると思えるのだが、実態は果たしてどうなのか。

葬儀費用の軽減のために、生前に組み立て式の棺桶を作っておくことに、あなたは躊躇するか? 棺のDo-It-Youselfである。 或いは火葬場でお骨を遺族が拾わなくなったら、あなたはどう思うか? では、豪華な棺に納められるなら、あなたは満足なのか? 改革はその辺から始まると言えまいか? 

メルボルンの葬儀社で、棺桶キットが販売されてそろそろ八年ほどになる。私はすかさず見に行った。一人前三百ドルほどだ。簡単な工具とやる気さえあれば、棺はハンド・メイドになる。若干のコツは必要だが、大体二時間あれば完成する。

葬儀社の話では、お年寄りが棺キットを買って作り、子供がそれに色を塗るのがパターンとか。あるお年寄りは、「いやあ、結構楽しいですよ。でも、早く使おうとは思っていません」 モチロンだとも。

葬儀社のジェームズ・マクロード社長も、この十年人々の葬儀への意識が大きく変化したことを認める。
「葬儀にカネをかけないようになってきています。組み立て式の柩もそのオプションの一つです」という。

ローズウッドの高い棺は、一台で軽く2千ドルはする。葬儀費用も、最低で軽く4~5千ドルはかかる。どこで聞いたのか、アジアからの引き合いもあるという。

棺キット販売の背景には、人々が葬儀に盛大な費用をかけるより、慈善団体に寄付したり、孫の教育費に回す人が増えてきたことなどの社会事情がある。人生の終着点、葬儀場には、今日も高価な棺を積んだ霊柩車が入っていくが、死後の世界、見栄をはる必要は全くないのではないか。

こんなこと言ってはなんだけど、火葬をすれば、柩からも人体からも、特に副葬品からも、ダイオキシンは出る。人は死してダイオキシンを排出する・・では、サマにならない。

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もっと、徹底して、「地球環境を考えた葬儀」を実行する時期に来ているのではないか。形式を排除して、長続きする葬儀の方法を考えたい。

葬送の形が多様化し、遺灰をダイヤモンドに加工し、個人の記憶を留める・・こんな形態も生まれてきた。ダイヤは、炭素原子が結合した結晶である。灰に含まれる炭素を抽出し、人工ダイヤにする。黒く軟らかい墨も、白い光を放つ硬いダイヤも、同じ炭素。その違いは原子の配列と結合の仕方にある。

やがて、早かれ遅かれ、間違いなく「棺段ボール」の時代が来る。オーストラリア北部準州でも実現されたと聞いた。いま、日本にもアメリカ製の段ボールが入りつつある。耐水性もあり、布などで装飾が施されている。火葬用の棺に使う木材も、環境意識の高揚で、確保しにくくなっている。

もし、あなたが段ボール箱の棺に納められるとしたら、俺はカボチャやスイカじゃないとお怒りになるのか? それではダイヤモンドの輝きも鈍くなりはしまいか。

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