其の37 英米の壮年 どちらが健康?
(この記事は、2006年6月30日付けのシドニーの週刊ジェンタに掲載した記事に加筆修正したものです)壮年(55歳から64歳まで)の8千人の白人を対象にした、米英両国民の健康度についての研究の結果が発表された。
その結果は、なんとアメリカで糖尿病、肺ガン、高血圧などに悩む人の数は、同年代のイギリス人の倍あったという驚くべきものだった。
これは、アメリカは米ランドコーポレーション、イギリスはユニバーシティ・カレッジ・ロンドンとロンドン大学の共同研究だった。
まず、英米両国の大規模、長期的健康調査を受けた白人を対象に、教育及び所得水準から3グループに分けた。そして、糖尿病、高血圧、心臓病、心臓発作、脳卒中、肺疾患など慢性疾患に関しての自己申告で比較する手段をとった。 そして、結果はなんと、イギリスよりも、アメリカの方が病める人が多かったのである。
報告作成者の一人ランドコーポレーションのジェームズ・スミス氏は、「両国の壮年の人の健康に差はないと思ったが、実際は、アメリカ人よりイギリス人の方が健康的だった」としている。 両国とも、低所得者は、ガンを除いて全て罹病しているが、高所得者ほど病気は少ない。しかし、健康度の不均衡は、やはりイギリスよりアメリカの方が顕著にみられる。
その差を研究者は、イギリスでは低所得・貧困から生じる病気の国民をイギリスは社会的に守っており、アメリカはそういう社会計画が欠如しており、それがアメリカ人の健康と病気がより大きく関連していると考えた。
しかし、研究では、罹病率の差を生活様式の違いと考えても充分説明は仕切れないことが判明した。例えば、喫煙率は英米とも同じで、アルコールの消費量はむしろイギリスの方が高いからだ。 肥満はアメリカでより一般化しており、アメリカ人の運動量はイギリス人より少ない。しかし、肥満要因を度外視しても、その差はまだ残る。

別の研究者は、人々は、この両国の違いは、健康管理制度の相違が基だと想像するだろうという。アメリカの健康管理制度は保険制度が基金になっており、イギリスの国民健康保険制度は、税収入から予算化されおり、基本的に無料だ。
ユニバーシティ・カレッジロンドンの教授は、「しかし、医療制度の違いはあっても、アメリカ人はイギリス人の倍の医療費を使っている。アメリカ人の15%は健康保険に入っていない。さらに多くの人が、一部保険にしか入っていない」と言って医療費配分の不均衡を指摘する。
しかし、それでも両国の健康の差の説明にはならない。なぜなら、最高レベルの医療を受けられるアメリカの富裕層は、イギリスの最低所得層の健康と同じだったからだ。
今後もこの原因を模索するらしい。
若干途中を飛躍した言い方になるが、一つヒントを上げるなら、アメリカ人全体が、自分のみの幸福を追求する生き方をせずに、もっと世界に貢献をする、弱者の味方になる生き方を模索して、精神的な健康を取り戻してみてはいかがだろうか。
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