其の31 W T O の話し
(この記事は、2005年12月2日付けの週刊ジェンタに掲載した記事に加筆したものです) WTOと言えば、世界貿易機関のことである。世界貿易の秩序維持を目的とし、1995年1月に発足した。しかし、こんなものを書いても読んでくれる人はいるまい。
今週のテーマは、同じWTOでも、世界トイレット機構のことである。そんなものがあるのか?と信じない人がいた。世界トイレット・サミットが開催されたと聞いて、彼はもっと驚いた。
左の写真は、タンザニアの公衆便所だとか。
WTO総会も、今年はすでに5回目を迎えて、9月に北アイルランドのベルファストで行われた。チリ、ドイツ、ガーナ、インド、ロシア、アメリカ、中国などから350人のトイレ専門家が集まった。世界各国が国際テロと取り組んでいる最中に、西欧で開かれた初めてのトイレサミットである。

左の写真は、公衆トイレだというが、場所は不明。
中国は、二〇〇八年に北京オリンピックと二〇一〇年には上海で万国博をかかえているから、トイレ革命は至上の命題である。「臭い」「汚い」「仕切がない」の古代的世界から大きく脱皮しなくてはならない。すでにあちこちで近代化は進んでいると聞く。
昨年の開催国シンガポールは、公衆トイレのきれいさでは、右に出る国がない。なにしろ、公衆トイレで水を流さないと罰金をくらう国である。やはり、教育こそが大事である。
そこでシンガポールに開講したのが、世界で初めてのトイレ大学である。トイレットの設計、清潔さ、清掃作業の質、衛生技術などの最低基準を守るための世界的な機関の必要性があったからである。この大学では、公衆トイレの設計コース、公衆トイレ専門家の訓練コース、環境衛生コースが開講した。早速30人の“学生”が、地元シンガポールの清掃会社から参加した。低いモラル、安い清掃料金、暗いイメージで、公衆トイレはますます汚くなっていく。中には、公衆トイレを目前に力尽きて噴出してしまう人もいるが、その後始末をするのも清掃員である。
それにしてもあきれるのは、公衆トイレの少なさである。世界に公衆衛生施設を持たない人口は26億人に及び、これは世界人口の40%に匹敵する。そして、我がオーストラリアの公衆便所も、汚くはないが、決してきれいではない。そのうえ、恐怖感があるトイレが多いのはいけない。中に誰かいたらどうしよう・・と。

アメリカでこういうジョークがある。
男が公衆トイレに入ったが、中にトイレットペーパーがなかった。彼は、隣りのブースで用を足している人に尋ねた。
「トイレットペーパーは余ってませんか?」
「いいえ」 と返事がきた。
「じゃあ、新聞紙はありませんか?」
「ありませんな!」
「う~ん、10ドル札を1ドル札にくずせませんか?」
男の必死の気持ちが伝わってくる。
毎年11月19日は、世界トイレデー。せめて、清掃する人の感謝の日にしたい。
清潔な公衆トイレは、上品な社会のバロメーター・・というシンガポール政府の標語を、世界に、そしてあなたに。
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