其の38 田舎道はギャラリー
(この記事は、2005年10月28日付け週刊ジェンタに掲載した記事に加筆したものです)
今週は、肩の力を抜いてレターボックス・カルチャー論といってみよう。
かつてのオーストラリアの家は、もっとも今でも少し年季の入った家はそうなのだが、オーストラリア人の個性をそのまま表していた。どれ一つとして同じ家がない。
ほとほと感心したものだが、田舎道を運転していると、その個性が郵便受けにまともに出ていることがわかる。道路脇の豊かなアトラクションが、私にはオーストラリア民族芸術品のギャラリーと映るのだ。
建築面積や日陰制限など政府の規制の及ばないこの手のものに、人々はひたすら精魂を傾けて楽しんでいることがわかる。都会のそれには魅力はないが、郊外から田舎になると、個性丸出しの郵便受けはドライバーにとっては大きな笑いさえ誘うほど刺激的だ。
およそ、ここの人は、郵便受けごときに、なんで出来合いの物を買わなくちゃいけないのか、と思っていることだろう。
そうは言いながらも、1番目の写真のは、カネがかかっている感じがする。これはブルー・マウンテンでみつけたものだ。「91番地はここだ。よく覚えておけ!」と叫んでいるような気もする。その左に小さい郵便受けが写っているが、「間違えずに入れろ!」と郵便屋さんに主張しているようでもある。 実際に会ってみると、持ち主はそういう野卑な人ではないかもしれない。
かと思うと、2番目の写真は、「入れておいてくれりゃいいですから」と控えめに言っているようで、これはまるでカネがかかっていない。月1回出す粗大ゴミでも、これほどひどいのはでないだろう。そもそも、こんな冷蔵庫を何年くらいここに置いているのだろうか。これでは、まさに粗大ゴミにもならず、間違えても、意図的にでも持っていく人はよもやいるまい。
手作りの郵便受けほどおもしろい物はないが、この国の郵便受け作りは、豪州最大のリサイクリング産業なのだ。 これまで最大の郵便受けは、廃棄された大型ガソリン・タンクだったという。その郵便受けには、郵便はもちろんのこと、野菜、トラクターの部品にいたるまですべての物が収納できたといわれる。

2番目の写真のように、郵便が雨ざらしにあいそうな物、蓋の付いた物、ひさしの付いた物、屋根を付けたものすらある。
カネをかけて製作した物、きれいにペイントした物、錆びたままの物、様々である。郵便が汚れそうな物。地域性あり、職業性あり、だ。
私が南オーストラリア州でみて驚いたのは、錆びたままの大型冷蔵庫だった。一応蓋はしまる。中を開けてみると、改造も何もしてなくて、冷蔵庫そのまま。薄っぺらい郵便は、蓋を閉めると完全に外気と遮断される。郵便配達の人は、蓋をあけて郵便物を入れていく。結構大変な作業なのだ。
3番目の写真は、たしかカウラの近くだったか。郵便屋さんは、郵便受けに入れるときに、楽しくなるのではなかろうか?
これらの郵便受けを撮影しながら走っていると、わずか30キロの距離が2時間以上もかかってしまうのだ。
郵便受けの個性という点では、ニュージーランドも人後に落ちない。だが、何が違うかというと、こぢんまりとした可愛い物が多い。オーストラリアほど、荒っぽい物は少ないのだ。故に、やはりこの郵便受けにこそ、国民性が出ていると私は思っている。
今週は、肩の力を抜いてレターボックス・カルチャー論といってみよう。
かつてのオーストラリアの家は、もっとも今でも少し年季の入った家はそうなのだが、オーストラリア人の個性をそのまま表していた。どれ一つとして同じ家がない。
ほとほと感心したものだが、田舎道を運転していると、その個性が郵便受けにまともに出ていることがわかる。道路脇の豊かなアトラクションが、私にはオーストラリア民族芸術品のギャラリーと映るのだ。
建築面積や日陰制限など政府の規制の及ばないこの手のものに、人々はひたすら精魂を傾けて楽しんでいることがわかる。都会のそれには魅力はないが、郊外から田舎になると、個性丸出しの郵便受けはドライバーにとっては大きな笑いさえ誘うほど刺激的だ。およそ、ここの人は、郵便受けごときに、なんで出来合いの物を買わなくちゃいけないのか、と思っていることだろう。
そうは言いながらも、1番目の写真のは、カネがかかっている感じがする。これはブルー・マウンテンでみつけたものだ。「91番地はここだ。よく覚えておけ!」と叫んでいるような気もする。その左に小さい郵便受けが写っているが、「間違えずに入れろ!」と郵便屋さんに主張しているようでもある。 実際に会ってみると、持ち主はそういう野卑な人ではないかもしれない。
かと思うと、2番目の写真は、「入れておいてくれりゃいいですから」と控えめに言っているようで、これはまるでカネがかかっていない。月1回出す粗大ゴミでも、これほどひどいのはでないだろう。そもそも、こんな冷蔵庫を何年くらいここに置いているのだろうか。これでは、まさに粗大ゴミにもならず、間違えても、意図的にでも持っていく人はよもやいるまい。
手作りの郵便受けほどおもしろい物はないが、この国の郵便受け作りは、豪州最大のリサイクリング産業なのだ。 これまで最大の郵便受けは、廃棄された大型ガソリン・タンクだったという。その郵便受けには、郵便はもちろんのこと、野菜、トラクターの部品にいたるまですべての物が収納できたといわれる。

2番目の写真のように、郵便が雨ざらしにあいそうな物、蓋の付いた物、ひさしの付いた物、屋根を付けたものすらある。
カネをかけて製作した物、きれいにペイントした物、錆びたままの物、様々である。郵便が汚れそうな物。地域性あり、職業性あり、だ。
私が南オーストラリア州でみて驚いたのは、錆びたままの大型冷蔵庫だった。一応蓋はしまる。中を開けてみると、改造も何もしてなくて、冷蔵庫そのまま。薄っぺらい郵便は、蓋を閉めると完全に外気と遮断される。郵便配達の人は、蓋をあけて郵便物を入れていく。結構大変な作業なのだ。
3番目の写真は、たしかカウラの近くだったか。郵便屋さんは、郵便受けに入れるときに、楽しくなるのではなかろうか?
これらの郵便受けを撮影しながら走っていると、わずか30キロの距離が2時間以上もかかってしまうのだ。
郵便受けの個性という点では、ニュージーランドも人後に落ちない。だが、何が違うかというと、こぢんまりとした可愛い物が多い。オーストラリアほど、荒っぽい物は少ないのだ。故に、やはりこの郵便受けにこそ、国民性が出ていると私は思っている。
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