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負け犬の遠吠え 友の会シドニー支部

 

Wednesday, October 18, 2006

其の51 ロリキートが問いかけているもの

(この記事は、2006年9月15日に、シドニー週刊紙ジェンタに掲載された記事です)
Posted by Picasa
このオーストラリアに来てうれしく思うのは、鳥の鳴き声で目が覚め、秋は落ち葉を踏みしめながらウォーキングが楽しめる・・・日本で住んでいたことを考えると、私には相当の贅沢に思えるのだ。今も、我が家にはほぼ毎朝カワセミはやってくるし、隣家がブッシュを刈り取ってしまったために、ロリキートは我が家にくるようになった。

ところが、最近サザランド・シャイアのある地区では、住民40人が、ロリキートの鳴き声が朝夕うるさくて、合法的に鳥を取り除く請願書を提出したと、デイリー・テレグラフ紙が報じた。

そして、どうやらその地区では、野鳥保護派と退治派に分裂しているのだ。鳥が来る木に毒がぬられているという恐ろしい話も伝わった。役所側は、住民が鳥に餌を与えないようにする以外に、自然の鳥には何も出来ないし、何もしないと語る。役所とワイルド・ライフ・サービスは、懐中電灯と音の発信器の購入をして撃退することを住民に提案した。平和的な手段と言える。

住民の一人は、「鳥がやってくる木に毒物を使用する手がある。自分なら同じ事をする気持ちになる」と。別の住人は、「ライフル銃で撃つか一匹ずつ捕獲する以外に選択肢はほとんどない」と言う。

反対派も主張する。「そんなことをしたら、自然から閉ざされた地域になってしまう。騒音の苦情は全住民の声ではない」「毎晩、孫たちとロリキートたちを見るのが楽しみで・・」「シティにこんな近い所で鳥に囲まれているのは幸せだ。鳥にも住む権利がある」「鳥の騒音は夕方だけに限られている。住民の睡眠を妨げるものではない」

そもそも、ロリキートのあだ名は、“スクリーマー”といい、静かな鳥ではないのである。確かに、シャープで切り裂くように鳴く。そして短い間隔で集団で鳴く。この鳥は日の出後と日没直前が、最高にトーンが高い。2~30羽で群れている。と鳥の側に立てば、お目覚めの時刻と帰宅のお知らせなのである。

ロリキートは餌を求めて50キロも飛ぶという。そして、お気に入りの木にねぐらを求めて戻ってくる。自然の鳥に、毒物をやることは絶対に避けたい。住民のエゴである。

もっと興味あることは、ロリキートは、日常の騒音のまねがうまいのである。例えば、電話の音、ポケベル、蛇口から出る水の音、自動車のクラクション、パトカーのサイレン、引き出しのキューという音、ビデオゲームから出る音、そして、人間の声も。ロリキートはオウムの種類である。その声は、「オーム返し」と心得るべきだ。人間が自然の中で静かに暮らしたいと思うなら、人間自身がもっと静かに暮らすことを、この鳥の騒音が教えているのではないか。

「パブから大声で戻ってくる馬鹿どもの方が、鳥より遙かにうるさいぜ!」と言うある住民の一言に、ロリキートはどう反応するか。「あんた、やはりそう思うだろう」と。

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