其の15 肥満1 痩せようぜ
ある男が、痩せようと決意した。
体重76キロの男が、数週間のうちに56キロにまで体重を落とした。人の一念はすごい。食事を徹底的に絶った。明確な目的があるから、確実に実行した。人間やる気になれば、出来るということをこの男は証明した。数週間で自分の体重の5分の1も落としたことを周囲の人間は知らなかった。どこでもすり抜けられるほどスリムになった。
二〇〇六年一月一七日深夜から一八日早朝にかけて、ボタニー湾のロング・ベイ刑務所の独房の窓に取り付けられた鉄の棒と煉瓦塀の間をすり抜けて、この男は脱走した。名はロバート・コール。最高度の捕物帖が展開された末“ご用”となった。男は、食事を絶って束の間の自由を得た。
半年ほど前に、世界保健機関(WHO,本部・ジュネーブ)が、六〇億人余りの世界人口のうち一〇億人以上が太りすぎで、このまま増え続けると二〇一五年までに肥満人口は一五億人に達する、との恐ろしい推計を発表した。
ではWHOの肥満の基準とは何か?
体重(キロ)を身長(メートル)の二乗で割った数値「体格指数」(BMI)が25以上を「太りすぎ」、30以上を「肥満」だ。身長一八〇センチ八五キロの人は、BMI26.2となり、「太りすぎ」だが、「肥満」ではない。因みに、小生の場合、BMI23で辛うじて合格。統計的には,BMI指数が22前後の人が最も病気になりにくく,死亡率も低くいという。
WHOで発表された「肥満注意国」に日本は含まれていない。だが、日本肥満学会は、日本人の体質の違いから、これよりやせた人も「肥満」と呼ぶ厳しい基準を設けている。肥満は心臓病や脳卒中などの引き金となる。
WHOの推計では、三〇歳以上の七五%以上が太りすぎと推定されるのは、女性では、エジプト、マルタ、メキシコ、南アフリカ、トルコ、米国など。男性ではアルゼンチン、ドイツ、ギリシャ、クウェート、イギリスなどが。肥満が社会問題化しているナウルには私も行ってみたが、気の毒としか言いようがない。日本車に乗ってくれるのはありがたいが、乗ったら最後、車から出るのが一仕事だ。トンガも然り。成人の一〇人中九人が太りすぎだ。
先進国に多く見られる肥満が、最近では所得の低い国々でも急増している。かつて抗仏・抗米と長い戦争が続き栄養失調の多かったベトナムでも、肥満児が増えている。ベトナム南部の大都市ホーチミン市(旧サイゴン市)の郊外にあるクチ地区。抗米戦争用に二五〇キロから三〇〇キロもの地下道が張り巡らされて、アメリカ軍を苦しめた。その入り口を見つけて、アメリカ兵士がトンネルに入れたとしても、その先で一部細くなっている部分がある。それより先に、大柄なアメリカ兵は進めなくなっているように工夫されていた。今、そこすらも通れないベトナム人が増えてきた。
2025年には、手を打たない限りオーストラリアの子どもの半数は肥満になるという。前述した囚人の一念に大いなる教訓を覚えた。(この記事は、ジェンタ2006年4月28日号に掲載したものです)
体重76キロの男が、数週間のうちに56キロにまで体重を落とした。人の一念はすごい。食事を徹底的に絶った。明確な目的があるから、確実に実行した。人間やる気になれば、出来るということをこの男は証明した。数週間で自分の体重の5分の1も落としたことを周囲の人間は知らなかった。どこでもすり抜けられるほどスリムになった。
二〇〇六年一月一七日深夜から一八日早朝にかけて、ボタニー湾のロング・ベイ刑務所の独房の窓に取り付けられた鉄の棒と煉瓦塀の間をすり抜けて、この男は脱走した。名はロバート・コール。最高度の捕物帖が展開された末“ご用”となった。男は、食事を絶って束の間の自由を得た。
半年ほど前に、世界保健機関(WHO,本部・ジュネーブ)が、六〇億人余りの世界人口のうち一〇億人以上が太りすぎで、このまま増え続けると二〇一五年までに肥満人口は一五億人に達する、との恐ろしい推計を発表した。
ではWHOの肥満の基準とは何か?
体重(キロ)を身長(メートル)の二乗で割った数値「体格指数」(BMI)が25以上を「太りすぎ」、30以上を「肥満」だ。身長一八〇センチ八五キロの人は、BMI26.2となり、「太りすぎ」だが、「肥満」ではない。因みに、小生の場合、BMI23で辛うじて合格。統計的には,BMI指数が22前後の人が最も病気になりにくく,死亡率も低くいという。
WHOで発表された「肥満注意国」に日本は含まれていない。だが、日本肥満学会は、日本人の体質の違いから、これよりやせた人も「肥満」と呼ぶ厳しい基準を設けている。肥満は心臓病や脳卒中などの引き金となる。
WHOの推計では、三〇歳以上の七五%以上が太りすぎと推定されるのは、女性では、エジプト、マルタ、メキシコ、南アフリカ、トルコ、米国など。男性ではアルゼンチン、ドイツ、ギリシャ、クウェート、イギリスなどが。肥満が社会問題化しているナウルには私も行ってみたが、気の毒としか言いようがない。日本車に乗ってくれるのはありがたいが、乗ったら最後、車から出るのが一仕事だ。トンガも然り。成人の一〇人中九人が太りすぎだ。
先進国に多く見られる肥満が、最近では所得の低い国々でも急増している。かつて抗仏・抗米と長い戦争が続き栄養失調の多かったベトナムでも、肥満児が増えている。ベトナム南部の大都市ホーチミン市(旧サイゴン市)の郊外にあるクチ地区。抗米戦争用に二五〇キロから三〇〇キロもの地下道が張り巡らされて、アメリカ軍を苦しめた。その入り口を見つけて、アメリカ兵士がトンネルに入れたとしても、その先で一部細くなっている部分がある。それより先に、大柄なアメリカ兵は進めなくなっているように工夫されていた。今、そこすらも通れないベトナム人が増えてきた。
2025年には、手を打たない限りオーストラリアの子どもの半数は肥満になるという。前述した囚人の一念に大いなる教訓を覚えた。(この記事は、ジェンタ2006年4月28日号に掲載したものです)
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