其の5 ひょう 雹 Hail
雹・霙・霰ふりがなをふれますか?「ひょう」「みぞれ」「あられ」が正解である。
今週は、漢字のテストではなく、雹の話だ。昨年(2005年)1月20日、夜8時ごろ自宅にいた。屋根で大きな音がし、没頭していた仕事から現実に引き戻された。誰かが、我が家の屋根に向かって投石を始めたのではないかと思わせるほどの音だった。あっという間の2~3分。一過性だったが、我が家のガレージに通じるアクリルで出来た回廊の屋根には、しっかりと穴が30個近く開いていた。
現役時代、シティに勤務していた時に経験したシドニーの例の雹の大被害を思いだした。1999年4月19日だった。この時には、最大時グレープフルーツ大のものが降ったそうだ。だから、車のガラスや屋根瓦を割られ、多くの人が天のいたずらに泣かされた。私のスタッフの一人も、出張から帰ってきたら夫にみせるのだと、テニスボール大の雹を後生大事に冷凍庫に保存していた。
そのくらい大きな雹になると、白く濁った部分と、透明の部分からなっていることに気づく。大きい雹は、中心から渦を巻いて、濁った部分、透明部分を繰り返す。これは雹の成長過程でできるもので、不透明部分は急激な上昇気流に乗っている時にでき、透明部分は静かに落下中にできる。雹は、積乱雲の中で、なんども急上昇、落下を繰り返しながら成長を続け、上昇気流が支えられなくなった時に落下し始める。上の写真をご覧下さい。これは、昨年12月に降った時のものを、撮影したものだ。小さいが、濁りと透明部分がはっきりと出ている。
中国河南省では、卵大のサイズの雹で、22人が死亡し、200人が怪我をした記録があるらしいが、恐らく同時に起きた竜巻で、死者が出たのではないかと推察され、この報道にはいまいち信頼がおけない。アフリカ・ナイジェリア北部のカノ市では、重さ2キロのフットボールサイズの雹が降り、7か村の家屋、家畜、農場が被害に遭ったという。信頼できる報道としては、1984年のドイツで、雹で400人が負傷している。世界最大の雹はインドで降るそうだが、記録はみつからない。
なんでも「世界一」が大好きなアメリカのことを書かなくては失礼に当たるだろう。2003年にネブラスカ州のオーロラという町で降った雹は、17センチを超え、重さが450グラムだったという。記録された単体の雹としてはアメリカ史上最大のものだという。この手の雹は、落下速度が時速160キロになると言われる。プロ野球の剛速球投手と言われる人の球速でもせいぜい一五〇キロだ。それを上回る速度で、こんなものが天から降ってきたのでは、ひとたまりもない。
2004年には、私はブルーマウンテンで運転中2回も雹に遭った。うち1回は激しい雹だった。ほうほうの体で近くの屋根付きのガソリンスタンドに避難し事なきを得たし、もう1回も、車ごと大木の下に入り込み自然の天蓋のありがたみを感じた。まさに、「感謝感激、あめ、あられ」だった。もう死語になってしまった言葉が口をついて出るほど、ありがたかった。死語がでるほど私は古い人間になってしまったのか、それとも、最近は社会全体が感謝する場面に遭遇しなくなったから死語になってしまったのだろうか。(了)
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