Weekly Go 豪
負け犬の遠吠え 友の会シドニー支部

 

Friday, June 02, 2006

其の22 レーク・ジョージの不思議

(この記事は、2005年2月4日号の週刊ジェンタ紙に載った記事と、日本の新聞に3月に掲載した記事を合わせて作成したものである)


 2005年5月、モスクワの東250キロのニージニー・ノヴゴロド地方の湖が一晩にして消えたと、BBCが報じた。風呂の栓を抜いたかの如く水はなくなり、村人は度肝をぬいたらしい。

 そして、翌6月に、イギリスの新聞ガーディアン紙が、アメリカの研究としてシベリアの二つの大きな湖が縮まり、125の湖が消えたと報じた。さらに、1971年当時40ヘクタール以上の面積を持つ湖沼は、10,882あったが、1997年では、それが9712と11%も減少していると、イギリスの科学誌の報道として報じた。温暖化で、永久凍土層が無くなり水が地下に浸透してしまうことで、シベリアの湖が消えていくらしい。



Posted by Picasa  わが愛するオーストラリアでは、何か起きているか? 

 シドニーを出てヒューム・ハイウェーをゴールバーンを左に折れてフェデラル・ハイウェーを走ると、首都キャンベラに入る手前でジョージ湖が左手に広がる。かつては満々と水を湛えていた湖だ。実際、ジョージ湖は、1986年に完全に干上がったとされたのだが、私がシドニーに赴任した1997年ですら、一部湖水が見えていたのである。左の写真は、2006年2月に撮影したレーク・ジョージである。クリックしていただくと、わずかに残っている湖水がわかる。

 長さ25キロ、幅10キロの湖は、いまや完全に底がみえ、端から端まで車で走れば土埃をあげるほど干上がった。戦争中の1940年代初期に枯渇して以来、60年ぶりと言われる。ジョージ湖の枯渇は、世紀に一~二度襲来する干ばつの兆候だと指摘する学者がいる。湖の枯渇と現在の干ばつとは強い相関関係があるとも、彼は主張する。

 ジョージ湖は満水と枯渇を循環することで有名らしい。かつては満水時に溺死した人もいるくらいであり、また陽炎のせいか、満水に見えても干上がっていたりと不思議な湖であ
る。

 ジョージ湖の歴史は、百万年以上に遡るといわれている。大昔は、小川が、ここを通ってヤス川に流れ込んでいたという。その後強い断層に沿った大きな地殻運動によってジョージ湖周辺の断層崖が隆起し、ジョージ湖が形成されたという。ジョージ湖は、前の氷河期でははるかに大きく水深もあったらしい。

 そして、湖底の下には厚さ三〇メートルの沈殿物の層が出来ていることもわかった。これが、長い間湖が存在していた理由だった。

 ジョージ湖は、深い所で二メートル、平均水深は一メートルという水量の少ない湖である。高い蒸発率と湖水を移動させるほどの強風が、この湖を時間によって、あるいは年によって満ちたり、干上がったりさせた理由であるという。

 いずれにしても、今、湖水はない。かつてはこの周辺は、湖水から出る霧で朝や夜一寸先も見えないほどの濃い霧に見舞われたが、今は霧はほとんどない。

 満水時の湖水は、ニューサウス・ウエールズ州の内陸で最大濃度の塩水だったという。海水の濃度に匹敵する塩分を含んでいたのだ。ヨーロッパ人がここを探検し、定住した時にも、近くのヤス川の水はかなりの塩分だったと言われる。 水は戻ってくるのか? 自然の営みの中で、これはどういう意味があるのか?


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